AUGYMERラジコンロボット

研究

2026年1月17日開始〜2026年2月1日終了(回復)

吉祥寺東おもちゃ病院でお預かりしたおもちゃで、充電できなくなったという主訴でした。受付では充電池の問題と仮説されたようで、私のところに回ってきました。

観察

お預かりしたUSBケーブルを見たら歪んでいたので、ケーブルの断線が疑われました。断線ならまだいいのですが、ショートの危険があるので、黄色のテープに「取替推奨」と注意喚起を書いておきました。

また本体を手に取ったらカチャカチャ音がするので中でなにかの部品が外れているようです。裏蓋を開けて振ってみたら、USB端子が出てきました。

マイクロUSBの端子は基板の穴にはめ込んで位置決めさせるようになっています。しかしこれだけでは、水平方向へのズレには強いかもしれませんが、脚が基板に噛んでいるわけではないので、剥がすような垂直の力が加わると基板の表面ごと簡単に外れてしまいます。本来であれば端子が動かないように躯体側で勘合させて固定すべきですがそこは設計上考慮されていません。USBケーブル側のプラグ端子の曲がり具合からしてもなにかの力が加わって一瞬にして剥がれてしまったと考えられます。

充電できないのは、ケーブルの断線ではなくコネクタが外れていたからでした。電池以前の問題です。

モジュール単位に分解

USBからの充電回路と電池の接続端子はそれぞれ独立してコネクタ接続されていましたので外しました。コネクタ接続されているということはモジュール単位で部品が作られて交換できるという期待が持てます。

基板のランドはUSBコネクタと一緒に剥がれ落ちてしまっており、基板側は以下のような状態でハンダが乗る場所がほぼなくなっていました。

黒い部品に3KAFのマークはリチウムイオン電池の充電保護回路のようです。つまりこの基板(KB162-3)はマイクロUSBから受けた5Vの電源を保護回路を通して電池に充電するためのものです。

リチウムイオン電池に仮充電

ちょっと怖いのですが、一定電圧で4.1Vほどかけて30分ほど充電してみました。通常のリチウムイオン電池は4.2Vで満充電状態となります。充電中は手で触りながら温度変化を見ました。しかし暖かくなることもなく、膨らむ様子も見られませんでした。

30分の充電後は3.3V程度の電圧は取れたので、電池はかろうじて生きていたようです。と言っても安定的に使うにはちょっと怖いかもしれません。とりあえずロボット本体に取り付けてスイッチを入れてみました。

動きました!

コントローラは電圧が正常で、スマホのカメラで見ると赤外線信号も出ているようです。個々の動作はマニュアルがないのでテストできませんが、ストップボタンを押したらロボットの動きが止まりました。ボタンの数からするとかなりいろいろな操作ができそうなロボットです。

修理方針

これで修理方針としては、リチウムイオン電池の充電保護回路の回復を図るという点に絞られました。あとはコストと手間の問題です。

困った問題

基板のランドが剥がれていてそのままでは使えないので、AliExpressやAmazonで探してみましたが、同じ型の基板はありませんでした。そこで代替案を考えてみました。

代替案良い点悪い点難易度
別型の保護回路基板を探し取り付けるUSB-Cケーブルが使える
既存のXHコネクタに接続すれば良い
回路基板をはめ込むサイズがピッタリ合うものがあるか不明(本体の切削加工が必要かも)低い
リチウムイオン電池を別の充電器で充電して、乾電池のように取り付ける回路基板が不要充電器が別に必要
本体のコネクタと合うハウジングのついた電池あるか
中程度
同じ基板を起こして発注するできれば回復は確実基板の回路が起こせるかどうかが不明
時間かかる
高い

結局、上記のいずれも採用しませんでした。(1月19日現在)

とりあえず基板の回路を解析する

ちょっとピンボケですが、充電保護回路をテスタで追いかけてみました。

白、黒、赤の導線が出ていますが、そのうち白はマイクロUSBのGND側、赤は+5Vに直接繋がっていることがわかりました。一方、バッテリが繋がっている2本のコネクタ(つまり正極と負極)との関係は、バッテリの負極が基板のGND(白)と、また正極が基板のBAT端子(黒)と接続していることがわかりました。これは基板の黒がバッテリの充電端子であることと矛盾しません。

3KAFのプロダクト型番であるXT4052のデータシートを見ると、LEDが接続されている1番ピンは充電中はLOWなので電流が流れてLEDが点灯し、充電が終わるとHIGHになって電流が止まり点灯しなくなることもわかりました。

光明が見えた

つまり、マイクロUSB端子を壊れた基板に載せずに、新しい基板を同じ寸法で切り取って新しい端子を載せて、正極、負極を壊れた基板の赤と黒の部分に接続してやればいいことに気が付きました!手元にないのはコネクタだけなのでこれさえ調達すれば何とかなりそうです。LEDはマイクロUSB端子を載せる基板に一緒に載せておけば、端子の横で光って充電を知らせてくれるでしょう。都合のいいことに使っていないパッドがちょうどLEDとプルアップ抵抗の接続先として使えそうです。(1.20現在)

充電のテスト

以上の仮説に基づいて、修理した後で話が違ったということにならないように、充電回路と電池を本体に戻し、充電回路に電源から電圧をかけて実際に充電できるかテストしました。1時間ほど充電しましたが、LEDは点灯したままでしたが、一旦ここで充電をやめて電源を外してスイッチを入れたら、ロボットが動き出しました!(1月21日現在)

基板加工とコネクタのハンダ付け

基板は汎用基板を本体の勘合するサイズに合わせて切削するしかありませんが、コネクタをどのようなものにするか考えました。調べてみると同じマイクロUSBでもいろいろな種類があるようですが、世の中には必ず同じ悩みを持っている人がいるというのがわかりました。

秋月で調べていたら、基板にはめ込むタイプのコネクタが見つかったので購入。

このコネクタを別に用意した汎用基板に乗せて位置決めをしながら削っていく作業です。

最終的にこのような形になりました。

各端子をはんだ付けしてUSB端子を基板に固着させます。

電源ラインにリード線を接続

さらに元の基板の電源ラインに接続します。

我ながらハンダ付けが上手く行くと気分がいいものですが、全てはフラックスのおかげ。引っ張っても外れないことを確かめて、本体にはめ込みます。

さらにバッテリと共にコネクタに接続して導通テスト。

無事に動きました!

しばらく自分でテスト走行させて充電を試しましたが、電池が熱くなることはなく70分ほどで充電ランプが消灯しました。充電器を外すと踊りだす設定になっているようです。

まとめ

今回はメカ部分も回路自体にも不具合はなく、コネクタが外れているだけでしたので、結果的には簡単な修理でしたが、パッドが外れてしまったときの復旧方法を色々と考える良いきっかけになりました。

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