自転車に乗るにはいい季節ですのでちょっと遠征したい気分ですが、今日は武蔵野市のおもちゃのぐるりんへ。今回から新年度の活動が正式スタートです。
ここは当日持ち込みはほとんどなく開催日の一週間前くらいからの持ち込みがほとんどで、到着したら修理を待っているおもちゃが並んでいました。過去に担当したことがないものや見たことがないものに気が行ってしまいます。
おしゃべりいっぱい!ガチャ
知育玩具の一つで、右のレバーを押すと中からガチャ玉が出てきて左のケーキの上に乗せるとなにか喋ります。
主訴は音が小さい、時々切れるということでした。回路の接点不良、電池の降圧、スピーカの劣化を想定しました。

まずは電圧をテスト。3本の電池を調べたら1本は電圧がかなり下がっていました。新しいものに取り替えたら、正常に作動したため、それ以上のことは調べずにお返ししました。
新幹線
4つのボタンがついていて、行き先案内、発車ベル、走行音などが鳴動するもので、新幹線やバスなどいろいろなタイプがあります。音源が異なるだけで電気的な設計はみな同じなのでしょう。
主訴は、音が歪んでいる(しゃがれた声)。走行音がおかしくなった、ということでした。
たしかにやや乾いたような風邪を引いたような音になっています。スピーカが傷んでいるのでしょうね。しかし気にしなければ気が付かない程度の音のひずみなのでスピーカの交換はせずに、ベテランドクターと相談して電子的な対応をすることに。

基板を外してみたら、4つのボタン(メンブレインスイッチ)とCOBとチップ部品数点だけの単純な回路でした。基板自体は触らないほうが良さそうなので、スピーカに直付することに。
220nFのコンデンサと47Ωの抵抗器を挟んで簡易なフィルタ回路を入れました。音は少し小さくなりましたが無事にまろやかな音になりました。値を選んだのはベテランドクターの在庫から適当に選んで試行錯誤して見つけたものです。

トゥインクラー
アメリカの福祉関連の玩具らしく価格を見て驚きました。障碍のある子どもたちが大きなスイッチを押すだけで、中のモータについた羽が回転してキラキラした紙吹雪を巻き上げ、元気のいい音楽が流れる玩具です。
スイッチが大人の手の平くらい大きいので簡単に押せるし、車椅子から足で押すこともできるので、大人気らしくその分よく壊れるのだとか。
過去にも何度か修理したことがあるらしく、今回は中の4つのモータの1つしか作動しなくなったということです。動かしてみると確かに中の紙吹雪の舞い上がり方が今ひとつでした。

裏蓋もヒビが入っていて、ホットボンドやガムテープで止めてあるのは長年使った歴史を感じます。裏蓋を開けて中をみました。

ホットボンドのような薬剤でモータが固着されています。コストはかなり削った作りです。
回路
開いた瞬間の違和感は導線の本数の多さによるものでしょう。最初は不思議な回路構成で動力モーターが直列に接続されているように見えましたが、赤の電源ラインと黒の接地ラインを跨ぐように4つのモータが配置されているようです。
乾電池のセット(単2が2本)が計3セット入っていて、1セットはLEDとスピーカ出力に、他の2セットがモータで羽根を回転させる動力源になっているようです。モータ側を外しても光と音は作動しました。
モータへの電圧は1.5Vかかっているのはテスタですぐにわかり(本来の作動電圧はよく調べていないことがいまさら後になって気が付きました。)、導線を外して個別に電圧をかけてみたら、2つのモータは作動しましたが、残り2つがどうしても作動しません。
動かないモータを取り外すためドライヤーを当てて樹脂を柔らかくしてようやく取り外せました。モータを手回ししてみたところ、一つは正転反転とも動き出しました。内部が固化していたようです。最後の一つは電圧を上げても手で回しても全く動かないので分解することに。
取り外したモータ。接着材がたっぷりとついていますが放熱の問題はないのか気になります。下に濃い青いものが見えるのがフェルト製の羽根です。

分解してみたところ内部から緑青の塊が出てきました。かなり汚れていて綿棒を数本使って拭き取りました。

整流子に接続するブラシの部分は緑青が蓄積。ここまで汚れているものは見たことがありません。アルコールで何度も拭き取って、ようやく一本が折れている(あるいは摩耗してなくなっている?)ことがわかりました。
ここから先はベテランドクターに対応していただきました。
ベテランドクターはモータ端子に着いているブラシを取り換えるため端子を外してブラシ部分を寸法をとって切り出してハンダ付け(これだけ書くと簡単なようですが、小さい部品を切ったり磨いたりはんだ付けしたりとそれは細かい作業で、目が見えないとなかなかできそうにありません。)。
整流子にも溝が入っていて接触が悪くなっていたようです。ここは溝ができる程度の厚みがあるため、ベテランドクターがヤスリをかけて滑らかにしていただきました。気をつけなければならないのは整流子は端子が2つあって正極と負極が回転で切り替わるようになっているため、整流子のスキマに金属粉が入らないように丁寧に拭き取ることと、余計なグリスをかけて金属粉を招いて導通させないように指導されました。
またコイルの底の方にも緑青の残滓が溜まっているようなので取り外して清掃していただきました(これは外すと戻すときに両側の磁石に引っ張られてなかなか中心が取れないので、外したくなかった・・)。
最後は回転軸の両側接点にグリスを入れて元の形に組み直して電圧をかけたら、音も静かにスムーズに回転。
ホットボンドで取り付けるのがこれまた大変でした。
補足
施設の担当の方によると障碍ある子どものための玩具はあまり種類がなく価格も高いため、こういうものを作ってくれる人がいたらとても助かるとのことでした。単純で使いやすいものが人気があるようで、おそらく百円ショップで部材を買ってきて作れるようなものが多いかも知れません。一方で、(無償あるいは材料のみで)作る能力のある人に要望が伝わるような機会をもっと増やしてほしいという話もこちらからしました。




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